アスリートのリカバリーに重要な栄養素

運動後のカラダは様々な栄養が不足している状態です。
競技でより良いパフォーマンスを発揮するためにも、リカバリーに必要なエネルギーや栄養素をしっかり摂取しましょう。

運動がカラダに与える影響

サイクリングをする女性とマラソンを走る人々

運動を行うとカラダに蓄積したエネルギー源を消費するだけでなく、脳や副腎、骨格筋などの組織からさまざまな生理活性物質が産生されます。特に高強度の運動では、筋グリコーゲン(炭水化物の一種)の減少、水分不足による脱水、筋肉の損傷が起こります。アスリートにとって、これらをリカバリーさせることは次のパフォーマンス向上のために欠かせません。

カラダをリカバリーするための主な栄養素

1. たんぱく質 — 筋肉修復の要

強度の高い運動や長時間運動を行うと筋繊維が傷つきます。この損傷をうまくリカバリーできず、筋肉を無理に使い続けると筋肉量の減少、疲労感の増加、さらには肉離れなどのリスクも高まります。このようなダメージからの回復を促進し、パフォーマンスを維持するためには、たんぱく質が欠かせません。運動後30分以内にたんぱく質を摂取すると効果的です。

また、IOCから発表されているアスリートの栄養摂取に関するコンセンサスの中では、筋力・瞬発力系種目のアスリートは体重1kgにつき1.7~1.8g、持久系種目のアスリートは1.2~1.4g程度のたんぱく質摂取が目安になるとされています。

たんぱく質を多く含む食品例
  • ・納豆(1パック):6.6g
  • ・豆腐(1丁):7.0g
  • ・卵(1個):6.0g
  • ・牛乳(200ml):7.8g
  • ・鶏肉(100g):25g
たんぱく質を多く含む食品

2. 糖質(炭水化物) — エネルギー源の補充

運動中に消費される主なエネルギー源はグリコーゲン(体内に蓄えられた糖質)です。特に高強度の運動や持久力を必要とする運動では、グリコーゲンが大量に使われます。運動後に糖質を摂取しないと、グリコーゲンの補充が遅れ、次回の運動でエネルギー不足になりやすくなります。持久力や爆発力を必要とする競技では、エネルギー切れがパフォーマンス低下の大きな要因となります。

運動後は、消化吸収が速い(グリセミックインデックス[GI値]の高い)食品を摂取することが効果的です。高GI食品を摂取するとインスリンが分泌され、筋肉へのアミノ酸や糖の取り込みを促進し、筋肉の修復や成長をサポートします。

運動後に摂取できる炭水化物が体重1kgあたり1時間で1.0g未満の場合は、炭水化物とたんぱく質を同時に摂取することで、短時間でも筋グリコーゲンの回復が促進されます。

消化吸収の速い炭水化物
  • ・白米
  • ・バナナ
  • ・スポーツドリンク、フルーツジュース
消化吸収の速い炭水化物の例

3. ビタミン — 抗酸化作用で疲労回復をサポート

ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンなどの抗酸化ビタミンは、運動により増加する活性1xbet 카지노を除去し、細胞の損傷や炎症の発生を軽減する働きがあります。

ビタミンCは水溶性のため過剰摂取分は尿中に排出されますが、ビタミンAとビタミンEは脂溶性のため過剰摂取には注意しましょう。

ビタミンA— 1日の目安量:男性850μgRAE、女性650μgRAE
  • ・レバー(50g):4,700μgRAE
  • ・うなぎ(80g):1,200μgRAE
  • ・まぐろ赤身(80g):670μgRAE
ビタミンAを多く含む食品
ビタミンE— 1日の目安量:男性6.0mg、女性5.0mg
  • ・アーモンド(10g):2.2mg
  • ・アボカド(50g):1.7mg
ビタミンEを多く含む食品
ビタミンC— 1日の目安量:男女100mg
  • ・パプリカ(1個):221mg
  • ・ブロッコリー(1株):190mg
  • ・果物(100g):60mg
ビタミンCを多く含む食品

運動後の水分補給のポイント

運動中に大量の汗をかいた場合は水分が不足し、脱水症状を引き起こすリスクがあります。運動後のリカバリーには、失った体重の1.25〜1.50倍の水分摂取が推奨されています。運動前後で体重を計量する習慣をつけておくと良いでしょう。

  • 出典:Thomas DT et al. (2016). Med Sci Sports Exerc, 48: 543-68.
ペットボトルの水を飲む女性

ただし、水分の摂り過ぎにも注意が必要です。塩分の少ない水を必要以上に摂取すると体液が薄まり、脱水状態と同様の疲労感などの症状が現れることがあります。特に涼しい環境での低強度の運動は発汗量が少ないため、水分を摂り過ぎる可能性があります。

効率的な水分補給には、水よりも電解質(100mLあたり0.1〜0.2gの食塩相当量)を含むイオン飲料がおすすめです。

回復時間に合わせた食事のプラン

① 次の運動まで時間があるときの食事

次の運動まで半日以上あれば、運動後は主食・主菜・副菜・果物・乳製品を意識したバランスの良い食事がおすすめです。主菜(肉・魚・卵・大豆製品のおかず)や乳製品からたんぱく質を、主食(ごはん・パン)から炭水化物を中心に摂り、野菜や果物からのビタミン・ミネラルも意識しましょう。栄養補給のタイミングは運動後60分以内が理想的です。

主食・主菜・副菜・果物・乳製品に分類された食品の図

② 運動と運動の合間の食事

午前と午後に練習や試合がある場合、合間には「素早く消化される炭水化物」を中心に摂るのがポイントです。次の運動まで1~2時間ある場合はおにぎりやパン、30分~1時間程度の場合はバナナ、カステラ、ゼリー飲料などが適しています。脂肪や食物繊維は消化に時間がかかるため控えめにしましょう。イオン飲料による水分補給も忘れず、次の運動に備えることが大切です。

1xbet 카지노の合間に適した食事の例

③ 夜遅い時間の食事

夜に練習をして、夕食が夜遅くになる場合は、睡眠の質を下げないように消化に優しいメニューを選ぶのがコツです。うどんや焼き魚、豚しゃぶ、豆腐、果物など、胃に負担をかけずにたんぱく質と炭水化物を補えるものが理想的です。食事を分割して、夜の練習前にはおにぎりやバナナで炭水化物だけ先に摂るのも効果的な方法です。

消化に優しい食事の例

楽しみながらリカバリー

各栄養素の役割を理解してカラダのリカバリーにつなげることも大切ですが、純粋に美味しいものを食べて楽しむことも重要なリフレッシュ方法です。家族や仲間と食事をしながらリラックスした時間を過ごすことも、身体的・精神的なリカバリーにつながります。

監修:管理栄養士 盛岡 良行 さん

株式会社アストリション 代表取締役。スポーツジムのトレーナーを経て、株式会社アストリションを設立。スポーツ栄養学のセミナーやメディア運営、子ども向け栄養食品の開発、親子で学べる栄養講座「スポーツジュニア栄養検定」の開催を行っている。【所属】日本スポーツ栄養学会 【メディア掲載】FMふくい「Highlight Friday」/ 福井新聞「ここがポイント!食事とからだ」/ベースボールマガジン社「ジュニアサッカークリニック」/FBCテレビ「おじゃまっテレ:勝ち飯レシピ」など

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